「よいことはカタツムリのようにゆっくりと進む」
というマハトマ・ガンディーの言葉を地でいくように、昔ながらの製法を活かし、1冊1冊シルクスクリーン製法で本を仕上げるインドの小さな出版社タラブックス。
元々口伝が中心で絵本という文化が根づいていなかったインドにおいて、子供に読書の楽しみを教えることを目的に数々の絵本を作り出しています。
その本は、少数民族のアーティストの書いた本やなど非常に独特で、タラブックスの本はインドだけでなく世界中で楽しまれています。
今日はそんなタラブックスに関する本『タラブックス: インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる 』を読んで知った日本で読めるタラブックスのオススメ本を紹介していこうかなと思います。
心に響く絵本をお探しのかたはぜひに。
では始めます。
目次
タラブックスについて
まずはタラブックスについてもう少し詳しく見ていきましょう。
◆タラブックス立ち上げの理由
インドはもともと口伝を重視する文化で日本や欧米のように出版文化の歴史が長くない。また、言語が複数あることなどもあり、本作りは難しい。
「子供に読ませたい絵本が見つからない」というのはインドでの長年の課題であった。
そこで立ち上がったのがタラブックス。大人の自己満足ではなく、子供に純粋な読書の喜びを与えられる本を目指し本を作り続ける。
◆タラブックスの魅力
「出版関係の人こそ立ち止まる本」というのがタラブックスの評価。
予算や時間に追われての妥協、次々と出てくるベストセラーの後追い本など、大人の事情がないのがタラブックスの魅力の一つです。
なぜタラブックスは魅力的な本を作れるのか、その特徴としては以下の3点が挙げられます。
少数民族の多さを活かす
インドでは様々な部族がおり、独自の文化やアートを持っている。タラブックスではその少数民族のアーティストを一つ一つあたり、絵本に落とし込む。
村の壁画とかをスキャンして作られた作品もある。印税もちゃんと払っているというが、中には何もしないで収入が入ってくることを嫌がり、印税を受取拒否する部族もいるという。
ダイアローグ(対話)とワークショップ
タラブックスでは2種類のワークショップがあり、これを重視しています。
一つは著者であるアーティストを招いて登壇してもらうもの、もう一つは子供向けのアクティビティイベントです。
タラブックスでは対話を重視しており、これらのワークショップで新たな気づきを得ることで次の本に活かしているのです。
◆タラブックスの本づくりの工程
タラブックスの絵本の中で人気のある少数民族のアーティストの書いた本。それは以下の工程で作られる。
1.聞き取り
2.下絵作り
3.デザイン
4.作成(版を作りインクを混ぜる。それを刷り、製本する)
5.梱包して発送!
これはけっこう大変で、ハンドメイド本は発注してから作られるので、発注から到着まで平均9ヶ月ほどかかるそうです。
それでも人気があるというのだからすごいですよね!
◆タラブックスの本の入手方法
タラブックスの本の入手方法ですが、翻訳されているものはふつうに日本の出版社から発売されています。
一般の本屋に置いてあるかは微妙ですが、Amazonとかで買えます。
本書の出版当時2017/7では、日本で読めるタラブックス本は10冊ほど。
しかし、インド国内では日本にはまだ流れてこないタラブックス本がたくさんあるという。マニアはインドへゴー。
◆お値段はそんなに高くない
ちなみに気になるお値段ですが、そんなに高くはないです。
例えば、ハンドメイド本『Do!』は、インドで400ルピー(800円)。
ペーパーブックだとさらに安くて150ルピー(300円)くらい。ハンドメイドでありつつも意外と安いというのが魅力ですね。
なお、日本翻訳版は取次の出版社が価格を決めているのでほかの本と同じくらいのお値段です。
日本で読めるタラブックス本
日本国内で購入できるタラブックス本をまとめました。基本的にはペーパーブック(紙の本)になります。
夜の木
バッジュ・シャームの作品。タラブックスで最も有名な1冊。
夜になるとその本性を現すという聖なる木、親切な精霊が宿る木、神が住むと言われる木など神木を集めた絵本。
水の生きもの
インド東部ビハール州に伝わる繊細で生き生きとした民俗絵画、ミティラー画の絵本。水に住む生きものたちが描かれています。
猫が好き
インドの部族出身のアーチスト達が描いた、個性豊かで魅力的な猫の絵がたくさん収録された画集。
猫が好き インドのTara Booksで手作りされた世界で一冊だけの本
インドのかずのえほん
リズミカルなことばがたのしいすうじとえいごのえほん。
くまさんどこかな
「わたしのくまさんどこにいるのかな?」
ある日家に帰るとくまさんがいなくなっていた女の子が、いろいろな世界をのぞきながらくまさんを探しに行きます。
ここってインドかな
「どこにいるかなんてかんけいないさ、もんだいは、どこにいくかなんだから」
夢のなかで青ネズミになってしまった主人公が、いろいろな人にここはどこかを聞くけれど、返ってくるばかりはちょっと変な答えばかりで…
世界のはじまり
中央インドのゴンド民族に伝わる創造神話の豊かな世界を詰め込んだ作品。
ぞうは、わすれないよ
森で迷子になったゾウがバッファローの群れに入れてもらうお話。
種族や人種を超えた友情をはぐくむことができます。
トラさん、トラさん、木のうえに!
1999年、ブラティスラヴァ世界絵本原画展において、金牌賞を受賞した作品です。
マンゴーとバナナ
「だいこうぶつのくだものをそだててたべよう!」「そうしよう!」
はらぺこライオン
インド古来の「ワルリー画」による昔話の絵本。
カナダ・アルクイン国際図書児童書部門最優秀ブックデザイン賞を受賞した作品です。
身の回りのものでつくるおもちゃとお話
タラブックス初のハウツー本。
身の回りのものを使って物語を作る方法を教えてくれます。
太陽と月
「この世は 昼と夜で できている。太陽があり 月がある。」
インドの先住民族のアーティスト10人が、それぞれの物語をもとに太陽と月を描いたという力作です。
様々な世界観をしることができます。
つなみ
2004年にインド洋で発生した大津波による惨状を忘れないために作られた1冊。2018年9月10日刊行。
終わりに
タラブックス本はタイトルだけ見ても魅力的ですね!
『Tiger on a Tree』が『トラさん、トラさん、木のうえに!』と訳されていたり、かなり訳にも気を使ってそうです。
日本に来ていないタラブックス本についても、本書『タラブックス: インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる 』の中では、タイトルと表紙が紹介されているのでタラブックスファンの方はぜひ読んでみてください。
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