河野裕さんの小説『いなくなれ群青』の世界観とかキャラとかちょっとシュールな名言とかを紹介していきます。
よろしくお願いいたします。
目次
河野裕『いなくなれ群青』とは?捨てられた人の行く着く島の物語
まずは河野裕さんの小説『いなくなれ群青』の概要を紹介していきます。
この本はシリーズ本で、全6巻完結となります。ただ、1巻ごとでも一つの事件を解決していってはいます。
ストーリーとしては、捨てられた人が辿り着くと言われる謎の島である「階段島」で暮らすどこか欠けた登場人物たちが島で起こる事件を解決しつつ、階段島の秘密に迫っていく・・・という物語です。
主人公は男子高校生の七草。基本的には事なかれ主義でやる気のない脱力系の若者。まあ、階段島を出れなくてもいいかなーと思っていたところに、幼馴染の真辺由宇が流れ着き、真っ直ぐすぎる彼女をなだめつつ、階段島の秘密捜査に乗り出すことになります。
ストーリーとしてはこんな感じの「階段島シリーズ」なんですが、すごいのは村上春樹のようなアンニュイで遠回しな独特の言い回し。
キャラたちはどこかかけた性格の人たちばかりで、掛け合いがどこかすれ違ってて絶妙にシュールなんです。
例えばでいくつか紹介していきます。
階段島シリーズ「いなくなれ、群青」のシュールな名言集
この階段島には、言葉を喋らず手紙で返信する少女とか、会う人によってなりきる相手を変える少年とか、そんな感じの変わり者がいっぱいいます。
そんなキャラたちが繰り出すセリフは浮世離れでありつつもどこか鋭い!そんな言葉が満載です。
特に七草と由宇が、目的は一致しつつもいつもアプローチが真逆で面白いです。
以下にいくつか紹介していきたいと思います。
「私たちじゃない、きみだ」
七草が由宇に対していった言葉。
「私たちじゃない、きみだ」
「それって大事なこと?」
「無駄に主語を大きくするのは嫌いなんだ」
と続きます。自分がこうだからみんなこう!みたいに思いがちな人はハッとするセリフかなと思いました。
さらに言えば、自分であってもそれは未来、過去、現在のどの自分なのか、という話もあるかなと思います。
今の私にとって重要なことは、必ずしも過去や未来の私にとっても重要とは限らない。
そこを安直に横着して「永遠とか」「私たち」とかを使うのは危険かなと思いました。
「感情的な問題を冷静に対処しても仕方がないじゃない」
旧友の夏休みの自由研究を誤って壊してしまった少年たちに対しての由宇の言葉。
自由研究を壊されて泣いて帰ってしまった少女に対し、「ほとぼりが冷めてから謝るべき」という七草と「いますぐ謝るべき」という由宇の主張の対比が面白い。
すぐに追いかけるべきかどうか、これはけっこう難しいなと思う。
「真面目に犯人を探さなきゃダメだよ」「もちろん。でも、ついでに楽しむのは悪いことじゃない」
これも面白いなと思いました。
真剣にやるか楽しくやるかは二分法になりがちだけど、どちらかをメインにとって、その途中で取れるものは両方どりするというのは確かに合理的!
『あひるの空』というバスケ漫画で「どうせ全部倒して俺たちが勝つんだ。道中は楽しい方がいい」という言葉があって、それと似てるなと思い出した。
「どうして三月荘という名前なんですか?」「三月にパーティーをするためだね」
これも好き。こういう常識的でなくて人を喰ったような表現すごく好き。
しかもこれ睦月荘とかジューンハイツとかそういう旧暦系とか英語系も入れたらかなりレパートリー増やせそう!
どっかで使っていきたい表現枠。
「まずルールを変えないとどうしようもない。困っている人を順番に助けても根本的な問題は解決しない」
これは本当にそうだと思う。
「魚ではなく魚の取り方を教える」みたいな表現ともちょっと似ているかなと思うけど、困っている人が制度によるものなら、制度を変えないと意味ない。
あと、本書では泣いている少年を前にあえて慰めないと言う選択を由宇がした時以下のような表現もあってそれもそうだなーと思った。
「でも悲しいと泣くのは当たり前なんだから。無理矢理に涙を止めても意味がないよ。目的がすり替わっている。一番根っこをどうにかしないと」
終わりに
ここまで階段島シリーズ第1巻『いなくなれ、群青』について、個人的に面白いと思った表現をまとめてきましたが、いかがだったでしょうか。
読む前は個人的に勝手に種田山頭火の「分け入っても 分け入っても 青い山」と言う句のイメージがついていた作品でしたが、読んでみると確かに群青みたいな青さあるなと思いました。
さらっと読めて値段も安いので、ぜひ読んでみてください。
※2019年9月にドラマ化されて古本とか値上がりが予測される
『いなくなれ、群青』映画前売券(一般券)(ムビチケEメール送付タイプ)
ではまた。良い読書ライフを!
という機会は本好きには多いかと。
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この機に他のシリーズ本の読む順番を、確認してみてはいかがでしょうか。