お疲れ様です、新年初買いの選書が一年で一番勝率が高いと言われているたkる(当社比)です。
今日は、2021年新年初買いした3冊のうち「あなたの体は9割が細胞」と言う文庫本を紹介していきます。
目次
「あなたの体は9割が細胞」ってどんな本?細胞科学の面白い部分を学ぶおすすめ本
まずは本書の概要を簡単に紹介します。
「あなたの体は9割が細胞」はこんな本!
書誌情報
まず概要情報はこんな感じ。
タイトル | 「あなたの体は9割が細胞」 |
---|---|
作者 | アランナ・コリン(英) |
出版社 | 河出文庫 |
刊行年 | 2020/12 (原著は2015年、単行本は2016年) |
ジャンル | 科学 |
サイエンスライターの著者が細胞の話をしていく本です。
文庫↓
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内容
本書の内容ですが基本的にはタイトルの通り「あなたの体は9割が細胞です」と言う内容が描かれます。
ちなみにタイトルは序盤で回収され
あなたが自分の体と呼んでいる容器を構成している細胞1つにつき、そこに乗っているヒッチハイカーの細胞は9個ある。
つまり、体を構成する90%がヒッチハイカーだと。
それぞれの章は独立していますが、文章の流れがスマートなのでぐいぐい読んでいける細胞感があります。
例えば、上のヒッチハイカーの話から、その後
100兆個の微生物は、もし何の手土産も無しに私たちの家のパーティに来ていたなら、いずれ招かれなくなっていたはずだ。
つまり何か意味がある・・・と続き、実際に著者自身の経験として
糞便サンプルを送り微生物のスナップ写真をもらえるプロジェクトの話
→著者の場合、抗生物質により多様性が低かった
→これが体調不良の原因では?と思い食生活を変えた
→・・・そしたら
みたいなところでプロローグが終わります。
銃・病原菌・鉄に似てると思った
こんな感じで、サイエンス本ではあるものの、身近な例をもとにエピソードをふんだんに織り混ぜて描かれているので読みやすいです。
あと語られる話が雑学としても面白いものばかりでわかりやすいけど内容はかなり濃い。
・・・こんな本を前にも読んだことあったなーと思って記憶を探ってみたところ多分「銃・病原菌・鉄」かなと思いました。
なので「銃・病原菌・鉄」が好きな人は本書も楽しめるんじゃないかと思います。(自分そう)
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「あなたの体は9割が細胞」の本レビュー!個人的に面白かった点まとめ
じゃあ概要はこのくらいにして、ここからは本書を読んで個人的に面白いと思った点を紹介していきます。
- 人の遺伝子の個数の話
- 進化の概念
- なぜ微生物?
- 1840年台のしゅっさん
- 抗生物質の意味
- アレルギー増えてる説
- 過体重
- デブの細菌
- 宿主のふるまいを変える細菌怖すぎる現象
これでもすごく絞った!
ではそれぞれ簡単に見ていきましょう。
人の遺伝子の個数の話
まずは本書のタイトルにも関係する部分ですが、人の遺伝子の話。
実はヒトって遺伝子の数そんなに多くないみたいで、具体的には線虫と同じで21,000個だそうです。
イネの方が2倍くらい多いとのこと。
ただここに微生物の分を入れると一気に440万くらいになるみたいで、結果として多様性が高いとのこと。
進化の概念
あと本書を読んで面白かったのが、進化についての考え方を学べる点でした。
知識としておもしろい内容が多いのはもちろんのこと、それだけじゃなくて、
- なぜそうなるのか?
- どう考えれば正解に行き着けるのか?
といった科学基礎みたいな部分を知ることができます。
具体的には虫唾の例がよかったです。
虫唾っていう器官が人間にあって、それが虫唾炎の原因になるだけと思われていたそうなんです。
虫唾は虫唾炎がほっとけば若年層を半数死滅させるというリスクにも関わらず残っているという点で意味のない器官ではない。実際、虫唾は微生物の隠れ家として機能している。
ただ実際にはこれが違ったみたいで、どうやってわかったかと言うと、無菌マウスで実験したそう。
1840年台の出産
上の続きなんだけど、もう1つよいなと思った例が1840年代の出産の話。
この時期って病院での出産にかなりリスクがあったそうで、人によっては病院で産むと死ぬからといって嘘の日程を教えて外で産んだりしたそう。
外科手術とかをする医者(当時は区別なし)から感染症が移ったのが原因だそうで、これは医師にさらし粉の溶液で手を洗うよう指示し、死亡率は下がったとのこと。
こんな感じの
結果→仮説→検証
みたいな帰納法の証明ステップが学べます。
ちなみに余談だけど21世紀の病気で人種と環境のどちらに影響しているかを見たい場合は、移民の健康状態を見ればいいそうです。
なるほどなーと思いました。
なぜ微生物?
あとそもそもの話としてなぜ人間は微生物を体内に9割(自細胞の9倍)も居させているのか。
その理由としては共存関係があるからだそう。
微生物は私たちの食べ残しを利用しているが、私たちも微生物を利用している。進化で得ようとすればとてつもなく長い時間がかかる機能を、私たちは微生物にアウトソーシングしている。
ビタミン合成とかそう言う1から作ると大変な機構は微生物に外注しているそうです。
だから抗生物質とかで微生物を殺すと思わぬリスクを背負うこともあり得るとのこと。怖いね。
食中毒になったあと、一生腸に悩まされ続けることあるらしい。生活の質を下げる病気ランキングでは糖尿病とかより上とのこと。嫌すぎて怖い。
— たkる@読書(外食)垢? (@takeru00022) January 6, 2021
抗生物質の意味
じゃあ抗生物質って逆に何の意味があるの??と言うと、これは
抗生物質は悪い微生物との戦いを一時休戦させる。これによりメスを入れても死なない
とのこと。
実際ペニシリンとか世紀の大発明と言われてるし、これもまたすごい。良し悪しあり!
アレルギー増えてる説
本書で初めて知ったのですが、アレルギーって実はかなり増えているそうです。
1930年代だと喘息の子供は学校に1人とかだったのが1980年にはクラスに数人とかになったとのこと。
アレルギーに関して、これも意図せぬ対照実験となった東西ドイツで比較すると、豊かな西ドイツでアレルギー2倍、花粉症3倍と明らかな影響があったそうです。
結論忘れたんですが、そんな感じの話が面白いなと。
過体重
「アメリカの赤ん坊の7%は出生時ですでに標準体重(の範囲)を超えており、歩き始めるころには10%が、小児期に入ると30%が過体重となっている」
らしいです。「生まれたときからデブだった」が成立するのは初耳でした。(7%の割合がどのくらいなのかわからないけども)
あと関係ないですが、南太平洋の島国ナウルは成人の70%が肥満だそうです。
デブの細菌
細菌×デブの話で言うと、太らせる細菌みたいなのはいるそう。
たまに食べるドーナツやチョコレート・バーは、カロリーの大半が吸収されないまま大腸を通過する。一方、毎日おやつに甘いものを食べている人には大量の脂肪好き最近がいるため、食べたドーナツは片っ端から分解され、ほとんどのカロリーが吸収される。
とのことで、太りにくい体質とかってこう言う話なのかなと思ったり。
あとデブの脂肪は機能不全だそうです。
太った人の脂肪は、貯蔵されたエネルギーを層状に重ねたものでなく、生化学的に機能不全に陥った組織になっており、どうやらリポ多糖がその機能不全を引き起こしているらしい
・・・へー。(何かに使えそうだなと思いメモる)
宿主のふるまいを変える細菌怖すぎる現象
あと本書で一番怖かった話が宿主の振る舞いを変える系細菌のお話でした。
具体的には狂犬病を初めとしたこんな奴ら。
- 狂犬病…衰弱させるのでなく極度に攻撃的になりウイルスの入った唾液を泡立てて噛み付く
- 毛様線虫…水に飛び込んで昆虫を自殺させる。線虫は泳いで脱出する
- ヒラマキミズマイマイ…カエルを奇形にして逃げられなくし鳥に食べさせる
- トキソプラズマ…ラットにネコを恐れなくさせる。ヒトにも感染して男女で性格が逆に変化する。また、男女とも反応が鈍くなり集中できなくなる。
→3倍事故を起こしやすくなる
→統合失調症、ADHDなどでも感染が多くみられる
怖くね???ガクブル
終わりに。実はまだ半分も読んでいないけどこの面白さよ!おすすめ
とこんな感じが「あなたの体は9割が細胞」でした。
すでにすごく学びをたくさん得た気がしていたのですが、実はまだ本書の半分くらいしか読んでいないんです。
なのでさらに後半で色々書かれているワクワク感があり、ボリューム、密度、面白さでどれをとってもおすすめです。
とりあえずなんか科学系の面白い本を読みたいと言う人に(背景を)ノールックでおすすめできるなと思います。
文庫になって安くなっているしぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
ではまた。良い読書ライフを!
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