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郝 景芳『1984年に生まれて』の感想レビュー!時代を超える自由への渇望

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郝 景芳さんの著作『1984年に生まれて』を読んだのでその感想レビューをしていきます。

著者に関しては「折りたたみ北京」などで有名なのでSF作家のイメージが強かったのですが、本書はかなり自伝風(リアリティが高い)でした。

郝 景芳『1984年に生まれて』とは?自伝風の中国人親子の物語

まずは本書の概要について簡単に解説します。

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本書は「折りたたみ北京」などで知られる郝 景芳さんの作品で日本では2020年11月の刊行となります。

内容としては、1984年生まれの娘とその父親のそれぞれの物語が描かれるというもの。

時系列は交互に進行していき

  • 父親パート・・・1984年ごろ
  • 娘パート・・・2004~2008ごろ?

といった感じ。

物語は大きな転換点などは少なく、自伝のように淡々と進んでいく構成となっているので、前作を読んでSFをイメージしていた人は肩透かしを喰らうかも!

郝 景芳『1984年に生まれて』の感想レビュー

1984umarete

続いては本書の感想レビューです。

翻訳がめっちゃ綺麗

まずはこれ作品とは関係ないのですが、翻訳がめっちゃ綺麗なのがびっくりしました。

だいたい海外の小説を翻訳した本って文章がちょっと固かったりするものですが、本書はすごい日本語が柔らかいんです。

なので臨場感というか、登場人物の心情みたいなのはじわっと伝わってきて、その点がすごいなと思いました。

・・・序盤の翻訳だけでもぜひ読んでみてほしい!

日本でもありそうな卒業後の進路問題

本書は2つの時系列を行き来します。

その片方、大学生の娘のパートでは、卒業後の進路に迷った娘の葛藤が主に描かれるんです。

これがまるで日本では??と思うくらいありがちな感じで、

  • 一流企業に就職するんだ
  • 海外を旅するんだ

みたいに言っている意識たかい友達の中で、主人公だけが進路を決めきれずにいる。

・・・ありそう。

しかも高校時代は真面目だった級友が久々に会ったら意識高い系になっていたりとか、そんな話とかもあり、なんかありそう!感が海外の小説なのにめっちゃ高かったです。

父親の方はドラマが多い

という感じで日常系な娘パートとは裏腹に一方で父親パートの方は波乱万丈です。

結果として生まれたばかりの娘とその母(父親から見て妻)を捨てて遠くに旅立ったというのが父親の略歴ですが、それに行き着くまでのドラマが割と色々あります。

こっちは中国ならではの文化大革命とか、役人への根回しとかそういう話がメイン。

なので中国っぽいです。

母親から話を聞いただけの娘視点では、理由がよくわからなかった父親の旅立ちが、父親パートを読むことで、「なんか仕方がなかった」感を得られて、自由ってなんだろう??みたいな本書のテーマに近づけます。

途中の精神壊れるところ怖い

自分本書はさらさらっと流し気味で読んでたんです。

そしたら途中で恋人にふられて主人公が精神を病む場面があって、そこで句読点なしで恨み辛みが無限に10ページくらい続く章があって、びくっっ!!!!となりました。

普通に読んでいても多分怖かったんだけども、流してスピードに乗って読んでただけに余計急にきてびっくりしました。

なので本書を夜に読む人は注意しましょう!

1984との関連性はあるのかもしれない

ちなみに本書のタイトルからわかるように本書は「1984年」に影響を受けているみたいです。

ただ、そこに関しては自分が不勉強で申し訳ないのですが原著を読んでないのでいまいち関連性はわかりませんでした。

そこまでディストピアという感じではなかったです。(むしろじわじわ真綿で首を絞められるような生きづらさ、みたいな感じ。)

終わりに。進路に迷ったときに本書を読むと良さそう!

本書は比較的裕福(ではないのかもしれない)な中国人大学生と、時代が一つ前のその父親のそれぞれが自由を求めて色々葛藤した奇蹟が描かれた作品です。

すごい自伝っぽい構成なんですが、厳密には自伝ではなく自伝風の小説だそうです。

本書を読むと、

  • 父親の時代の自由を得られなかった中での葛藤(革命を選ぶかどうか)
  • 選択肢はかなり広いが故の葛藤(進路どうするか)

という時代ごとの葛藤を知ることができます。

結局、選択肢があってもなくても選ぶのは大変!みたいなのを体感として知ることができます。

単行本で400ページある大作ですが、人生の行き先に迷った人はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

ではまた。良い読書ライフを!

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