本記事では村上春樹さんの小説のおすすめを解説します。
目次
村上春樹さんの作風は?関係代名詞を多用した独特の文章
まずは管理人のほうから簡単に村上春樹さんの概要について解説します。
村上春樹さんは、世界的に有名な小説家・エッセイストで、世界でもハルキといえば伝わるような知名度です。
文章の特徴としては、独特な関係代名詞構文があり、
●●は××、僕にとっては〇〇なのだが~
みたいな後ろに補足が付いてうにゃっとした文章が多いです。
作品としても、現実と非現実の境目を攻めた自伝的な内容が多く、その世界観の独特さから多くのファンを集めているのかなと思っています。
村上春樹さんのおすすめ小説10選!初心者はここから!
続いてはそんな村上春樹さんのおすすめ小説を紹介します。
10本選択するのが難しいほど、おすすめの本が多い村上春樹さんですが、その中でも長編、中編、短編、エッセイ・絵本に分けておすすめ10本をご紹介していきます。
- (長編)「ねじまき鳥クロニクル」
- (長編)「羊をめぐる冒険」
- (長編)「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」
- <中編>「国境の南、太陽の西」
- <短編>「回転木馬のデッドヒート」
- 「レキシントンの幽霊」
- 「夜のくもざる」
- <エッセイ・絵本>「遠い太鼓」
- <エッセイ>「走る時について語るときに僕の語ること」
- <絵本>「羊男のクリスマス」
「ねじまき鳥クロニクル」
初めて読んだ時は正直あまり好きではありませんでした。
が、2回目に読んだ時には「なんて面白いんだろう!」と感じた小説です。
1939年に実際に満州国とモンゴルの国境で起こったノモンハン事件と現代でのできごとを絡めており、いつも通りユニークな登場人物が多々登場する、深く、壮大な小説です。
村上春樹の最高傑作と言われているのも納得です。
はじまりは短編小説『ねじまき鳥と火曜日の女たち』をベースにしたお話しから。
ノモンハン事件はえぐい部分も多いですが、暴力や闇の部分をしっかり描ききっています。
部作の長編ですが、主人公の置かれている状況がどんどん変わっていき、面白い登場人物も後から後から出てくるので、途中でやめられない小説です。
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「羊をめぐる冒険」
デビュー作、二作目に続く、主人公「僕」と友人「鼠」の三部作の完結編です。
ですがこの小説から読み始めても問題ありません。
上下巻の長編小説ですが、ミステリーかつファンタジー的な要素があり、どんどん読み進められます。
デビュー三作目にして初めて「羊男」という、その後の「カーネル・サンダース(海辺のカフカ)」や「騎士団長(騎士団長殺し)」に続く、何かを象徴しているような不思議な生き物が登場します。
ラストは衝撃的でした。その名の通り冒険小説で読みやすいので、村上春樹を読んだことがない、という方にもおすすめの小説です。
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初心者向けです!
「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」
『世界の終わり』と『ハードボイルド・ワンダーランド』という一見何のつながりもなさそうな二つの世界のお話しです。
『世界の終わり』=静
『ハードボイルド・ワンダーランド』=動
ですが平行して進行する世界にスッと入っていくことができます。
読み進めるほど、どこにも接点のないこの二つの世界が最後はどうやってつながるんだろう、と思いますが、もちろん最後はきちんとつながっています。
交互に現れる「動」と「静」の世界をじっくり楽しむことができます。
「国境の南、太陽の西」
村上さんの小説の中で一番繰り返し読んでいる小説です。中編というのも読みやすい長さです。
主人公の「僕」と、彼の周りの女性たちとの関係を描いた小説です。
この小説は、不思議なものは出てこずファンタジー要素がない、リアリズム小説です。
読んでいるその時々の年代で、感じることがまったく違う、そういった楽しみ方もできる小説です。
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「回転木馬のデッドヒート」
村上さんの作品には素敵な短編も多々あり、選ぶのに苦労しましたが、自分の好きな短編が入っている短編集を選びました。
こちらの短編集は、著者が人から聞いた話を元に書かれています。
その中でも『タクシーに乗った男』が印象的でした。
アメリカで何気なく買った一枚の絵が、後にギリシャで不思議な巡り合わせを引き起こします。
最初に納められている『レーダーホーゼン』もありそうといえばありそうなお話ですが、時々突如として不思議なことが起こりうるのが人生の面白さや悲哀である、と感じました。
「レキシントンの幽霊」
高校の現代文の教科書にも掲載された『沈黙』。
村上春樹作品の短編の中では、異色だと言っても良いくらい、毛色の違う作品です。
本当に恐ろしいのは「悪」そのものではなく、何も考えずにそれに同調してしまう人々。いつの時代、どこの国にも当てはまる言葉です。
心に少し痛みを伴う、けれど深く心に残る作品です。
他には『七番目の男』。
こちらも高校の教科書に掲載された短編です。主人公は波にさらわれた友人をおいて自分だけ助かってしまうのですが、波の中にいる友人を見た時に恐怖を感じます。
一旦恐怖という固定観念に囚われると、それ以降恐怖を取り除くことは難しくなってしまう。
誰の人生にも起こりうることだと感じた小説です。
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「夜のくもざる」
こちらの短編集には次から次へと不思議な、変わった、面白いものがたくさん出てきます。
ぼちょぼちょがもしょもしょにしたことのお礼に、くりゃくりゃを置いて行った…
というよく分からないような分かるようなお話がたくさん載っていて、そのユーモアに声を出して笑ってしまいます。
安西水丸さんのイラストも素敵です。
<エッセイ・絵本>「遠い太鼓」
実は村上春樹さんを読み始めたのはエッセイから、というほどどのエッセイも面白いです。
この『遠い太鼓』は、村上さんが3年間滞在していたヨーロッパでの滞在記です。
後年アメリカに滞在されていた時のエッセイは何冊か出ていますが、ヨーロッパでの滞在記はこちらだけです。
ギリシャの島々やローマ、トスカーナなど、そこに住む人々や食べ物、家、店、風景などそれぞれの場所の魅力が、村上さんが感じたまま記されています。
また村上さん独特の豊かな想像力で、土地の人を勝手に解釈してしまうところが笑えます。奥様との関係性も素敵です。
ぜひこんな暮らしをしてみたいものです。
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「走る時について語るときに僕の語ること」
村上さんのライフワークである「マラソン」について、はじめて深く言及された本です。
この本を読み終えた時、実際に自分も走ってみたくなり、それから不定期に走るようになりました。
それくらい人を動かす力のあるエッセイです。
ただ前書きにもありますが、この本は走ること以上に村上さんの内面を正直に綴っています。
『職業しての小説家』も少し似た内容ですが、ここまで彼の内面を語っている本は他にはないと思います。
村上さんの考え方に一歩近づけるようなエッセイです。
「羊男のクリスマス」(絵本)
佐々木マキさんのイラストが素敵な絵本です。
羊男や双子の女の子、羊博士など今まで村上さんの小説に出てきた登場人物たちが出てきます。
それ以外にも「ねじけ」や「海ガラス」の奥さんなど、不思議な生き物が出てきます。
とてもあたたかい、ユーモアあふれる素敵なクリスマスの絵本です。
村上春樹さんの新刊・新作小説まとめ
最後に村上春樹さんの新刊を紹介します。
- 長編:「騎士団長殺し」
- 短編:「一人称単数」
- エッセイ:「村上T 僕の愛したTシャツたち」
新刊についてはこちらにもまとめました。
<長編>「騎士団長殺し」
プロローグから「顔のない男」が登場し、心をつかまれます。村上作品には珍しく画家が主人公です。
『騎士団長殺し』というタイトルからなんとなく西洋に関連した小説かと思いますが、飛鳥時代の格好をした人物の絵が中心となっています。
村上さんのお父様は僧侶もされていたそうですが、過去の西洋的な傾向のある作品とは異なり、最近の作品には即身仏など仏教に関連したものが多く登場しています。
村上作品の変遷を辿ることのできる一冊です。
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村上春樹『騎士団長殺し』の読む順番を文庫化の前におさらいしよう
「一人称単数」
フィクションなのかノンフィクションなのか、不思議な世界に引き込まれる短編集です。
印象に残った短編『謝肉祭』は、読んだ後に実際にそのようなことがあったのか調べてしまったほどでした。
『品川猿の告白』は同じく短編集『東京奇譚集』の中の『品川猿』と関連した短編です。
現実的にはありえないお話ですが、不思議なリアリティがあり、実際に起こりうる話なのではないか、と感じさせてしまうところがさすがです。
これは自分も読みました!
村上春樹の詰め合わせ!「一人称単数」の読書レビュー!半自伝的な内容でした
「村上T 僕の愛したTシャツたち」
Tシャツにまつわるエピソードが紹介されており、世界各地での村上さんの体験談や音楽・食・本の話などがつまっております。
ユーモアあふれる文体で、気軽にスイスイ読めるエッセイです。
長年の盟友でもあった、イラストレーターの安西水丸さんのことについても触れられています。
海外の出版社が村上さんの小説の販促用に作ったTシャツがとても素敵で、興味深かったです。
終わりに
そんな感じが村上春樹さんのおすすめと新刊情報でした。
面白そうな作品ばかりですね。
世界を旅するとき話題に上がることも多いです。
ぜひ読んでみてください。ではまた、良い読書ライフを!
という機会は本好きには多いかと。
そこで本サイトでは300シリーズの小説のあらすじと読む順番を一覧で紹介しました。
さらに番外編情報、ドラマ化情報、漫画化情報も併せてまとめました!
この機に他のシリーズ本の読む順番を、確認してみてはいかがでしょうか。